2006年09月04日
☆最近の読書12 小熊英二著『民主と愛国』新曜社
小熊英二著『民主と愛国 戦後日本のナショナリズムと公共性』新曜社 2002年刊を読んだ。戦後活躍した政治学者・評論家・小説家などを採りあげて論じているのだが、ここで採りあげられている人達は、当然オピニオンリーダーと呼ばれている人達であって当然読んでいなくてはならない人達ばかりだ。ただ、どんな読書家でも全て読んでいる人はいないだろう。文字通り読んでいる人は、著者小熊英二ただ一人だろう。それくらいいろいろな人を採りあげ論じていてなかなか真似はできない。丸山真男、大塚久雄、竹内好、吉本隆明、江藤淳、鶴見俊輔、小田実、石母田正、井上清、網野善彦 等だ。こうして列挙してながめてみると、どれだけ本を読んでいるであろうか? ほとんど読んでいないことに愕然としてしまう。これらの人達を採りあげることを通じで、戦後を論じているのである。歴史書と呼んでもいいかもしれない。小熊が、この本で戦後を論じたことで「戦後とは何か」がはっきりした功績があるのだろう。戦後といっても、いろいろな人がいろんなかたちで論じているが、それは戦後の一断片を論じているに過ぎないということが、この本によって明らかにされる。従って、これまでいろんな人が論じた、例えば、加藤典洋、福田和也、橋爪大三郎、西尾幹二等の論者の戦後論が批判的に検討される指針材料が揃ったことになるだろう。
本の内容
これまで語られることがなかった戦争の記憶と「戦後」の姿が、いま鮮烈によみがえる。『単一民族神話の起源』『“日本人”の境界』で日本を問いなおしてきた著者が、私たちの過去を問い、現在の位置を照らしだす。
目次
モラルの焦土―戦争と社会状況
総力戦と民主主義―丸山真男・大塚久雄
忠誠と反逆―敗戦直後の天皇論
憲法愛国主義―第九条とナショナリズム
左翼の「民族」、保守の「個人」―共産党・保守系知識人
「民族」と「市民」―「政治と文学」論争
貧しさと「単一民族」―一九五〇年代のナショナリズム
国民的歴史学運動―石母田正・井上清・網野善彦ほか
戦後教育と「民族」―教育学者・日教組
「血ぬられた民族主義」の記憶―竹内好〔ほか〕
posted by fishmountain : 2006年09月04日 22:44 | コメント (0) | トラックバック (1) | 読書・本 (68)
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